かゆみを感じている時に身体に何が起きている?

腕をポリポリと掻く若い女性

 

気温が高くて汗をかく夏や寒くなって肌が乾燥する冬に、身体のあちこちがムズムズとかゆくなる・・・と悩んでいる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?

 

かゆみは重度なものになると強烈な不快感を伴いますが、かゆみの発生メカニズムの中ではヒスタミンという物質が大きな影響を与えています。

 

ここではまず、ヒスタミンの分泌が体内でかゆみに変化するメカニズムについて見ていきましょう。

 

かゆみは身体の防御反応?

かゆみはアレルギー症状や乾燥など何らかの外的な刺激によって発生しますが、この時には体内で外的な異物に対抗しようとかゆみ神経を刺激する物質が放出されます。その物質こそが先程挙げたヒスタミンという化学物質なのですが、このヒスタミンは知覚神経に作用し、刺激がかゆみとして独特な感覚に変換されて伝えられます。

 

こうしたヒスタミンは通常マスト細胞と呼ばれる貯蔵庫に保管されているのですが、アレルゲンの侵入による抗体反応として分泌されかゆみとして現れてしまいます。

 

よく乾燥肌がかゆみの原因になると言われますが、これもこうしたかゆみの発生メカニズムに関係しています。

 

通常肌は皮膚の外側にある角層によってバリア機能を持っていますが、乾燥によってこうしたバリア機能が衰えると、外部からの刺激が侵入しやすくなり、かゆみを含む様々な肌トラブルの原因となってしまうのです。

掻きむしることでかゆみの悪循環に陥る

かゆみは放置しておくと自然に収まることが多いですが、強烈なものになると掻かずには我慢出来ないので、子供などは特に強烈に掻きむしってしまうことがあります。

 

大人でも無意識の内にこうした掻くという対処を行ってしまうのですが、これはかゆみが発生した箇所を爪という硬いもので刺激することにより、痛みでかゆみを打ち消している状態です。

 

刺激はかゆみを助長するだけ

軽度なかゆみならば対処として軽く掻く程度はほとんど問題にならないのですが、強く掻きむしってしまったりを繰り返すと、余計に酷くなってかゆみの悪循環に陥ることがあります。

 

よく、蚊に刺されてぷくっとふくらんだ所がかゆい時、爪で「バッテン」の印を押さえつけたらいいといわれた記憶はないでしょうか。あれも一時的な効果で、結局新たな刺激を加える事でかゆみはよけいひどくなります。

 

これはかゆみが発生している箇所を掻くことによってかゆみの原因物質であるヒスタミンの分泌を促してしまうことが原因ですが、さらに強烈な刺激で角層を傷つけていることも大きな原因です。

 

皮膚は角層により外部からの刺激に守られていますが、爪などで強く掻きむしると、角層がボロボロに崩れてしまいます。そのためさらに外部からの刺激に弱くなるばかりか、炎症を引き起こすこともあるので、かゆい時にむやみに掻きむしると余計に悪循環に陥ることがあります。

抗アレルギー剤である程度かゆみを抑える

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かゆみは掻きむしると症状を悪化させ、特に顔など皮膚の薄い箇所では赤く炎症を起こしたり、見た目上もトラブルとなってしまいます。

 

そのため出来ることならば掻かずに処理することが望ましいのですが、じっと我慢しておくのも限界があり、就寝中などに無意識に掻いてしまうことを止めることは難しいというのが実情です。

 

そこでできるだけ早くかゆみを抑えるには、抗アレルギー剤が有効です。

 

かゆみは何らかのアレルゲンがヒスタミンの分泌を促すことで知覚神経を刺激している状態ですが、抗アレルギー剤の中でも抗ヒスタミン薬ではこうしたヒスタミンを直接抑えることが出来るので、かゆみの発生原因を素早く除去することが可能です。

 

しかし、アレルギー体質の方の場合にはこうした抗ヒスタミン薬だけでなく、塗布する抗アレルギー剤が効果的です。

 

抗ヒスタミン薬は内服して体内からかゆみの元を断つものですが、アレルギーは皮膚の病気になるので、抗アレルギー剤で直接塗布することで炎症を抑えるという治療が効果的です。


炎症を鎮めるならステロイド軟膏が第一

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アトピー性皮膚炎などで皮膚科を受診した場合、大きく分けてヒスタミン作用のある抗アレルギー剤か皮膚に直接塗布するステロイド系の軟膏などを処方されます。

 

アレルギー性皮膚炎は皮膚に何らかのアレルゲンが原因で炎症が出来ている状態なので、まずはその炎症を抑えるために強めのステロイド軟膏を利用することが一般的です。

 

ステロイド軟膏には大きく分けて3つの効果が期待できますが、先ほど挙げた抗炎症作用もステロイド軟膏の大きな役割の一つです。

 

またステロイド軟膏では免疫抑制作用も期待できます。かゆみはアレルゲンに対する過剰な免疫反応が原因ですが、ステロイド軟膏の免疫抑制作用によって免疫システムの異常な暴走を沈めることが可能です。

 

また抗アレルギー作用もステロイド軟膏の効果として期待できます。

 

アレルギー症状を引き起こすヒスタミンなどの化学物質がかゆみを発生させますが、ステロイド軟膏の抗アレルギー作用によってこうした不快なアレルギー反応を引き起こす化学物質を抑制することが可能になります。

 

ステロイド長期連用のリスク

ただしステロイド剤は長期間連用(数ヶ月〜数年レベル)すると、皮膚に副作用がでる危険があります。皮膚が薄くなって出血や乾燥しやすくなったり、毛細血管が目立って皮膚が酔っ払っている時のように赤みをおびたり、ニキビができたりといったものです。

 

ずっと使っていたステロイドを急にやめると、体内での副腎皮質ホルモンが枯渇して急激に皮膚症状が悪化することも(リバウンド現象)。アトピーに詳しい方なら「脱ステ(脱ステロイド)」をいう言葉を聞いたことがあると思います。

 

ステロイドに依存し過ぎるといざ辞める時に大変な状況になりかねないので、今は薬局でも気軽にステロイド軟膏が買える時代といっても、やはり皮膚科できちんと診察を受け、適切な薬効のステロイドを処方に従って正しく使うことが大切です。


長湯は皮脂を落としかゆみにつながる

ゆったりじっくり長湯する女性

 

乾燥肌の方にとって入浴は非常に重要なものですが、長湯は逆に乾燥を悪化させかゆみの原因になってしまうことがあります。

 

冬は湿度が低下し空気自体が乾燥するので、入浴によって潤いを取り戻そうと長湯をされる方も多いですが、長時間の入浴によって汗と一緒に重要な成分も流れでてしまいます。

 

一般的に長湯やサウナはデトックス効果が期待出来るとイメージされていますが、長時間入浴することで皮膚の潤いを保つセラミドなど重要な成分もアンモニアや塩分などと一緒に流れ出てしまいます。

 

また長湯をすれば皮膚がふやけてしまいますが、これは角質が水分を含んで膨張しているという状態です。

 

この状態は肌にとって非常に不安定な状態なので、肌のキメや保水力を保つバリアが壊され、結果的に乾燥肌になってしまいます。乾燥肌は外部からの刺激に弱くなり、様々な異物にとって無防備な状態になってしまうので、かゆみ体質の方にはぜひ避けたい状況です。

 

ぜひ冬の入浴は極端な長湯を避け、10分から15分程度の適度な入浴を心がけて下さい。